地域福祉リーダー養成研修2022 近江八幡つながり未来塾]  はだれもがともに暮らせるまちづくりを一緒に学ぶことを目的に開催しています。

第3回目となる3月2日(木)は、「介護はじめの一歩」のテーマで開催しました。このテーマは毎年参加が多く、関心の高さがうかがわれます。


今年度は日頃介護の現場に携わる、市社協「デイサービスセンターひまわり」の管理者(介護福祉士)井上雅弘と「居宅介護支援事業所」管理者(ケアマネジャー)今井真記が家族の介護を実際経験されている当事者お二人のお話をインタビュー形式でお聞きしました。

 以下ひまわりリポーター村上さんのリポートをご紹介します。







地域福祉リーダー養成研修2022 近江八幡市つながり未来塾 

3回 テーマ「介護はじめの一歩」

インタビュー「介護の経験をお話します。」

〜当事者だから言えること、わたしの想い〜

 

語り手に井上幸子さん川村いく子さんをお迎えし、インタビュアーは近江八幡社会福祉協議会 デイサービスセンター井上雅弘さん、居宅介護支援事業所 今井真記さんのインタビュー形式で行われました。




 

まず最初に、川村いく子さんのお話を聞きました。

川村さんのご主人は57歳頃、前頭側頭葉萎縮、その後言語障害を発症されました。

 前頭側頭葉型認知症の症状で多いのは、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで理性的な行動が取れなくなったり、言葉が出にくくなったりすることです。



 川村さんは、ご主人の病気による幾つかのご自身の体験を話して下さいました。病気がわかるまではご主人に「なんでそんなことするんや。」と怒ってしまっていたそうですが、病名が分かった時には申し訳ないのと愛おしい気持ちになり、それからは怒ったらいけない、と2人の娘さんと3人で「〇〇ちゃん(ご主人)はなんも悪くない。病気がそうさせてるんや。(ご主人が日常では考えられないような行動をしようが失敗しようが)死なへん死なへん。」と言って、時には辛いことも笑い、協力し合って乗り越えてこられました。

人との繋がりが大切で、周りの方に支えられ、ただ聞いてくれる人がいるだけでも救われてきたそうです。




 

井上幸子さんのお話し

井上さんの義母と実母がアルツハイマー型認知症で、実母を弟さんと二人で介護されています。




 実母は、毎日家業の仕事もしながら食事や身の回りの事もこなし、十分に生活できていたそうです。しかし、コロナ禍で引きこもりがちになり、年齢的なこともあり仕事を辞め、家にいる時間が長くなり、症状が現れてきました。周りの方が「いきいき100歳体操」や「ふれあいサロン」に誘ってくれても行きたがらないお母さんに、できればデイサービスに行ってほしいと考えた井上さんが頼ったのが地域包括支援センターです。ケアマネジャーに相談に乗ってもらい、お母さんに合うデイサービスを探しました。なんとか行き始めましたが、時には、前日に「行く」と言っていても当日は「やっぱり行かない」と言って、行きしぶりもあったそうです。しかし、家にこもっているのを見ているのも良くないと思ったというお話から、お世話の大変な様子が伺えました。さらに白内障でほとんど目が見えてないことが判り、両目を一度で手術することになりましたが、無事終えられるまでとても大変だったそうです。



 

最後にお二人がおっしゃっていたことは、病気のことは自分から発信しないと周囲に分かってもらえない一人で抱え込まず遠慮しないで人に頼ること。頼れる人をたくさんつくること。認知症は大変ですが、十分生活出来るということをできるだけたくさんの人に知ってほしい、ということでした。

 

この講座に参加したことで認知症には種類があり、前頭側頭葉型認知症を知ることができ、認知症についても関心を持つきっかけとなり、とても良かったと思います。

多くの人が認知症についてまずは知り、偏見なくその人を尊重し、社会全体で理解を深めることが大切だと思いました。

しかし、体験した人にしかわからない、綺麗事ではなく容易ではないことも理解できました。また、当事者の家族も病気を受け入れることが大切です。認知症は決して恥ずかしい病気ではないのですから。




 

川村さんと井上さんには貴重なお話を聞かせて頂き、本当にどうも有難うございました。


ひまわりリポーター 村上久美子